[桜流し / 宇多田ヒカル]終盤の盛りあがりが〈希望〉を伝える

エンディング主題歌

〈桜〉にみずからの心情を重ねあわせるのは、日本の歌の伝統美といえます。この場合の「歌」とは、歌謡曲だけでなく、和歌とか俳句、あるいは随筆などの文芸も含まれます。日本に暮していて〈桜〉を見たことのない人はまずいないだろうし、歌い手・作り手のココロにシンクロするのにはぴったりのモチーフです。

ただ、本作にかぎっていえば、〈桜〉はまた特別な意味を持つように思います。というのは、本作が彩るアニメの舞台となるのは、私の住むのとはまるで異なる世界で、そこで起こることもまったく空想だからです。空想の世界で暮らす住人たちの心情をおもんぱかるには、やはり〈桜〉が格好の材料である、ということかもしれません。

アニメで展開する場面(本作が流れるシーン)は、とても切ないものではあるけれど、少しばかりの〈希望〉は残っている。本作が次第に盛りあがり高まっていく部分は、その場面の〈希望〉を表わしています。

タイトル桜流し
アーティスト宇多田ヒカル
作詞宇多田ヒカル
作曲宇多田ヒカル & Paul Carter
編曲宇多田ヒカル & Paul Carter
アニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

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